Recodeさんから取材を受けインタビュー記事が掲載されました。
ぜひ読んでください。
「RECODE | 美容の明日を考える」インタビュー企画 第18弾・Vol.2
RECODEでは「美容の明日を考える」というテーマで、様々なシーンで活躍される方にインタビューを行っています。今回はその第18弾として、創業3年にしてヘアサロンを7店舗展開。それだけでなく、マツエク7店舗、ネイル、リラクゼーション、エステを1店舗ずつ幅広く展開、急成長しているサロン、hair resort Ai代表古藤知裕氏(以下古藤さん)に、サロンの特徴や福利厚生についてお伺いしました。(2/7)
スタッフを想う気持ちがきっかけとなった託児所の併設
インタビュアー:
前回は集客の方法についてお話いただきました。
今回は福利厚生、働く環境などをお聞かせいただければと思います。
古藤さん:
そうですね。まずウチの会社の大きな特色は、託児所があることだと思います。現在は保育士さんが5人いて、代わりばんこに見てもらっています。
秋葉原店と上野店にあるのですが、そこでママさん美容師に活躍してもらっていますね。最近はウチで働いてくれている美容師もママさんが多くなってきているので。
普通だと託児所料金取ると思うんですけど、ウチでは1円ももらっていません。
なので、お客さんもそこに子供を預けてウチを利用できます。あと、練習したいときにも託児所を利用できるようにしています。
インタビュアー:
そうなんですね!営業日だけではなく練習のときも利用できるというのはすごいと感じます。
古藤さん:
そうなんです。そこが他とは圧倒的に違うかと思います。
練習の時に託児所が利用できるので、「子供はいるけどスタイリストになりたい」というアシスタントの子が、スタイリストになることも可能です。
先日、実際にそうやってスタイリストデビューした子もいるんですよ。
インタビュアー:
それはすごいですね!
古藤さん:
小さな子供がいながら、アシスタントからスタイリストデビューすることはなかなか難しいところがあるので、普通だと諦めがちなのではないかと思います。
けれど、ウチには練習したい時に練習をみて指導してくれる人もいますから、「できる環境があれば頑張りたい」という人にとっては環境が整っていると思います。
インタビュアー:
今の美容業界の大きな課題の一つに人材不足というものがあると思うのですが、その解決方法として、子供がいる美容師さんたちに活躍してもらう為に託児所をつくったといった感じなのでしょうか?
古藤さん:
いえ、そうではありません。
実際ウチは入ってくる新人の数が多いので「人手不足」かと言われたらそうではないのです。
なので、主婦が欲しいからつくったということではありません。
インタビュアー:
では、どうして託児所を造ろうと?
古藤さん:
最初のきっかけはウチで働いてくれていたスタッフの出産でした。
彼女から、「戻ってきたいけど、託児所が見つからなくて働けないです」って相談を受けていたんです。でもその子は給料が発生するわけでもないのに、子育てで休んでいる時もウチの会社の手伝いをしてくれていたんですよね。
だからその子をなんとかしてあげたいなってところから、そういう制度が要るだろうなと思い託児所をつくりました。
インタビュアー:
なるほど。会社のために頑張ってくれているスタッフさんのことを想ってのことだったんですね。
古藤さん:
はい。ある程度会社も上手くいってましたし、還元してあげたいと。主婦にためにっていうのは、正直なところかなり利益を圧迫してしまうという現実もあります。
ある意味(会社側としては)ボランティアに近いところもあるんですけど、それで喜んでくれる人たちがいるなら2店舗くらいであればどうにでもなりますし、いいかなと。
制度を整えることはスタッフへの“還元”になる
インタビュアー:
働くスタッフを想われての託児所ということでしたが、保険や出産・育児関連の制度について、他のサロンさんと違う点などがあればそのあたりのお話を聞かせてください。
古藤さん:
まず僕の考えなんですけど、よく(求人サイトなどで)見る「育児休業あり」とか「育児休養制度あり」などはあまり意味がないと思っています。
インタビュアー:
それはどうしてなんですか?
古藤さん:
なぜならこれは、「子供を出産したり育てている間は休んでもいいですよ」ってことですよね。
こんなの当たり前のことじゃないですか。休んでもいい制度というのは当たり前であって、要は「お金がもらえるのか」という部分が大事だと思います。
出産手当金だったり育児休業給付金とか色々ありますけど、申請さえすれば受け取れるようにウチではキチンと完備しています。
インタビュアー:
なるほど。
古藤さん:
例えば色んなやり方があると思うんですけど、実際に求人サイトとかを見てみると、産前産後90日までなどやっていたりするじゃないですか。
こういうのは他のサロンさんでもちゃんとあると思うんですが、その前に辞めてしまった場合、そこで終わってしまうんですよね。
実際は、本当につわりがひどいなどそういう理由であれば、その間でも会社に在籍しているとそのお金はもらえるんです。けれど、「やめます」って言ってしまったら「じゃあはい、お疲れ様です」と終わってしまうんですよ。
現実的にその後戻ってくる人の確率は低いので、辞めますって人にわざわざ席は置いといた方がいいよって言う必要はないですよね。
なぜなら引き留めてしまうと、会社側に保険料がかかるからです。
インタビュアー:
確かにそうですね。休んでいる間の費用を考えて、戻ってくる確率も低いとなると、正直引き留める理由がないかなと思ってしまいます。
古藤さん:
はい。けれど僕の考えとしては、会社が数万円払ってあげるだけでその子達が何十万とか何百万貰えるのであれば、払ってあげようって。
色々やり方はあると思うんですが、何ヶ月間か出してあげれば出産さえしてしまえば健康保険料などは国持ちになるじゃないですか。
なので、会社が負担してるのは最初のときだけなんですよ。
でもそれを普段する必要もなく、「どうせ辞めるんでしょ」という会社が多いから、そのまま払わずに辞めて終わりってパターンが多くて。
だからこそ僕はできるだけ会社として支援しています。
インタビュアー:
やはり美容業界の中ではまだまだ制度が整備されていないことが多いのかな、と感じますが、こちらの制度を整えるにあたって抵抗などなかったのでしょうか。
古藤さん:
抵抗はあまりありませんでしたね。
僕が今純粋に思っているのが、せっかく人がこうやって沢山入ってきてくれて、自分自身も、勿論アシスタントであったりスタイリストをやっているときより今の方がかなり良い暮らしをさせてもらっているので、スタッフたちに還元してあげたいなと。
自分の場合はお金はほどほどあれば十分なので、であればその分、今の子たちを経営者にしてあげたり、福利厚生を充実させてあげたりしたいなと思っています。
あとは労働時間も今少しずつ変えています。それだけでなく休みを増やす、給料を良くするなど。今までの美容業界が全然それができていないので。
インタビュアー:
今までの美容業界ができていないから自分たちもできないのではなく、できていないからこそ制度を整えているのですね。ちなみに、なぜ美容業界はこのようなことができていないと思われますか?
古藤さん:
集客がまずできていない、対応ができていない、教育ができていない、だから給料も安いっていう形になってしまうと思うんですよ。福利厚生も同じような理由で出来ていないと思います。
その点ウチは、お客さんが沢山来る状態をとにかく1年目でまず考えて、集客が大事だなと。2年目で求人が一番。3年目は教育で一番。4年目で現在の仕組み作りをして、5年目にグランドデビューして、来たる2020年にフランチャイズ展開。このように目標を立てて、今言った“できない”ものたちをできるように取り組んでいます。
そういえば自分が前の会社を辞める際、スタッフが40名ついてきてくれたんですよ。
インタビュアー:
そんなについてきてくれたんですか!?
古藤さん:
ええ、最初から。というのも、前の会社の時に僕は戦術の類まで経営に深く携わっていたんです。
僕たちがいるので、社長も出なくて良い程でした。そんな事情や、僕たちが色々行なったりサロンの状態を立て直したりするのをスタッフが見てくれていたんです。
それでいざ自分が抜ける時、その子たちは前の会社に戻るのか、辞めて僕の会社に付いてくるのか、ということになりました。僕としては「半分ついてきてくれればいいな」と思っていたのですが、想像以上に僕についてきてくれました。
だから、彼らに良くしなければついてきてくれた意味がないのではないかと。
インタビュアー:
なるほど。そういった古藤さんの想いもあったのですね。
古藤さん:
はい。本当に美容業界は制度が整っていないと痛感するんです。
例えば、保険証も他の人のを借りて歯医者に行くことや、銀行でロックされてなど、そういうことがザラにあるんですよ。
しかし、自分で払えと言ってまだ20歳の子がちゃんと計算して住民税などのためにお金貯めておくのは無理だと思うんですよね。
インタビュアー:
そうですね。なかなか難しいのではと思います。
古藤さん:
そういう現状を目の当たりにして、僕は美容師として美容室を経営して、少なくとも、今よりは良い状況に変えてから次の世代に引き継いでいきたいという想いがすごく強くなっていて。
福利厚生は今すごく声を大きくして言われていますし。この先の世代では絶対もっと良くなると思うんですよね。
美容師の引き抜きとかも問題になっていますが、本当はそういうのもOKにすべきではないでしょうか。ダメな会社は潰れるべきで、ちゃんと考えてやっている会社が残っていくべきだと思うんです。
ただ、まだ僕の会社だと力が無いためあまり偉そうなことはまだ言えないのですが、本来であればそれがあるべき姿だと思います。
引き抜かれてしまうから会社の内容をもっと良くしないとと思っても良いわけじゃないですか。採用についても人材確保のために改善していかなければ、という流れになることが良いと僕は思っています。
自分が経営するに当たって、今の現状を改善してもっと良くなるようにやっていかないとわざわざ経営者になった意味もないですし、せっかく美容業界にも入っているので業界の現状を少しでも改善したいなって思いでやっていますね。
インタビュアー:
ついてきたスタッフへの想い応えるだけでなく、これからの美容師たちの現状を変えていこうと取り組まれているのですね。
それでは次回、古藤さんがhair resort Aiで行っている教育についてお聞きしたいと思います。
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